悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

「お前は、なぜ政治に口を出す? 女の身で、今まで口を出したものはいなかっただろう」
「――女大公は過去に例がありましたよ、殿下」

 実際、バルダート大公家は、祖父の母、つまり曾祖母が大公位を継いでいた。夫が亡くなった時、跡取りである息子がまだ三歳だったからだ。
 息子を大公とし、後見として立つという手もあったが、皇女が降嫁したという事情もあり、成人までの間大公位を預かるという形で継いだそうだ。
 皇帝一族の出身であるアンドレアスは、もちろんそのあたりの事情も知っているだろう。けれど、彼はふんと鼻で笑っただけだった。

「それは、あくまでもつなぎ。政治的な面で大きな働きをしたというわけではない。息子が成人するまでの間、その地位を守ったというだけの話だからな」

 レオンティーナは感嘆した。
 アンドレアスは、そのあたりの事情もくみ取った上でレオンティーナに声をかけてきたらしい。

(……だからと言って、アンドレアス殿下に素直に事情を話すわけにもいかないけれど……)

 レオンティーナは、顎に手を当てた。