手に持った鞄には、昨日までの間一生懸命まとめた資料が入っている。参加者は、誰でも自由に議題を提案することができるから、明日、提案するつもりだ。
「うん、君が頑張っているのはよく知っているのだけどね……無理はしない方がいい」
経験豊かな父親から、御前会議に提出するということもできた。けれど、初めての参加だ。自分自身の手でやってみたかった。
「バルダート大公閣下、そちらはお嬢様ですか?」
父に話しかけてきたのは、すらりとした女性だった。身に着けているものは、最高級の品ばかりである。艶(つや)を帯び、模様が織り込まれた茶色のドレスは、派手ではなく、落ち着いた色合いだけれど、彼女の知的な美しさを最大限引き立てていた。
年の頃は、四十代半ば。レオンティーナの両親と同年代くらいだろうか。
「これはこれは、ユエラ伯(はく)爵(しゃく)夫人。ええ、こちらが娘です」
目上の者に話しかけてはいけないというルールは、御前会議の会場内では、例外とされている。伯爵夫人と呼ばれた女性は、レオンティーナを見て微笑んだ。
「初めてお目にかかります、伯爵夫人」
「うん、君が頑張っているのはよく知っているのだけどね……無理はしない方がいい」
経験豊かな父親から、御前会議に提出するということもできた。けれど、初めての参加だ。自分自身の手でやってみたかった。
「バルダート大公閣下、そちらはお嬢様ですか?」
父に話しかけてきたのは、すらりとした女性だった。身に着けているものは、最高級の品ばかりである。艶(つや)を帯び、模様が織り込まれた茶色のドレスは、派手ではなく、落ち着いた色合いだけれど、彼女の知的な美しさを最大限引き立てていた。
年の頃は、四十代半ば。レオンティーナの両親と同年代くらいだろうか。
「これはこれは、ユエラ伯(はく)爵(しゃく)夫人。ええ、こちらが娘です」
目上の者に話しかけてはいけないというルールは、御前会議の会場内では、例外とされている。伯爵夫人と呼ばれた女性は、レオンティーナを見て微笑んだ。
「初めてお目にかかります、伯爵夫人」



