優花さんの執事は一個上の十七歳で、柊斗と同じ高校に通っているらしい。
なんでもイケメンで、柊斗を塩顔というのなら、その人は醤油顔だとメイドたちは言う。
メイドたちの言っていることはよく分からなかった。
だが、優花ちゃんとその人との写真を見る限りではすごくかっこよく品のある人に感じた。
「ねえ聞いて~!かーくんがね、私のこと好きだって毎日言ってくれてね、いっぱいいっぱいちゅーしてくれるんだよ!」
かーくん、それが優花さんのお相手の執事で、確か本名は合川快誠というらしい。
柊斗曰く、「何食わぬ顔してなんでもこなす人」だそうだ。
実際に会ってみたい気持ちはあるけど、私はお父様の言いつけで使用人以外の異性との交流は禁止されている。
だから男友達も恋人もいない。
「ふ、不純ですよ!く、く、く、口づけなんて!!」
「えーそう?イマドキ普通だよー」
「そんなことありません!私はしたことないですし」
「じゃあ篠原くんにでもしてもらえば?私の唇貰ってください!とかなんとか言ってさー」
「そのような行為は成人を迎えるまではダメだとお父様に言われてるんです!」



