そう言われるのが少し嬉しかった。
私のことを分かってくれる人なんて誰もいないと思っていたから。
「というか私の靴返して!」
「嫌よ!じゃあ私に合川様をよこして!」
「あげるわけないじゃん!かーくんを世界一愛してるのは私だけなんだもーん!!」
「はぁ!?」
一人の男性を取り合う喧嘩はこういうのなのね。
初めて見た色恋の言い合いに感動してしまって涙が引っ込んだ。
絶対今は感動する場面ではないのだけれど。
「てゆーかさ、もうこんなことやめなよ。血筋なんてどうでもいいし。私たちは令嬢である前に女なんだから別に誰と恋愛してもよくない?」
優花さんが真剣な表情で正論を言ったためさらに静まり返ってしまった。
そんな沈黙を破るように令嬢の誰かが言った。



