オフィスラブはじまってました

「だから、そのうち、俺に飽きて。
 突然現れたみたいに、突然、お前がふっと消えたりするのかなと思ったりもする。

 ……もしかしたら、これはハッピーエンド荘の魔力で。

 家を建てて、此処を出たら、お前は俺の側からいなくなってしまうんじゃないかと思ったり」

「いや、此処出てった人たち、みんな楽しそうにやってるじゃないですか」

 澄子に見せてもらった、仲良し家族の写真を思い出しながら、ひなとは言った。

「俺はずっと自分は恋愛なんてするような人間じゃないと思ってた。
 ……だから知らなかったんだが。
 不安なものだな、恋というのは」

 幸せだけど、いつもちょっと何処か不安だ、と柚月はひなとを上から見つめ、その両の手首を握り締めて言う。

 逃すまいとするように。