完全に信頼を失ってしまったようだ、と柚月は項垂(うなだ)れていたが。

 そうではなかった。

 ひなとは、ただ混乱していたのだ。

 ちょっと待ってくれって、なかったことにしてくれってことでしょうか。

 私、もてあそばれたのでしょうか……っ、
と思いながら、ひなとは柚月について夜道を歩いていた。

 ポリバケツを強く握って。