ひなとが猫をおびきよせるのに挫折して、縁側で母親たちとお茶をしはじめたとき、縁の下から野良とは思えない太ったふさふさの猫が出てきて。
此処いいですか、とも訊かずに、どすっと、ひなとの膝にのっていた。
……猫ってそういうもんだよな、と思いながら、緒方がご機嫌なひなとを眺めていると、勘太郎が言ってきた。
「別にこの話進めてもかまわんぞ」
は? と緒方は振り返る。
「佳子さんのほうは別の誰かを向けてやればいい」
「……あの~、そんなに相手に困っている人なんですかね?」
「いや、美人なんだが気位が高くて、ちょっと扱いづらいらしくてな」
あんた美人で気位が高く扱いづらい女を俺に押し付けようとしていたのかと思う。



