ひなとが弟と母親と一緒に本堂の下に住み着いている猫を見に行ったので、緒方はそれに少し遅れてついて行った。
すると、勘太郎も歩みを遅くし、緒方に並んで言ってくる。
「感じのいいお嬢さんじゃないか」
「そうですかね?」
貴方のことも、這い出てくる坊主とか言ってましたけど。
「性格もこざっぱりした感じでいいじゃないか」
「こざっぱりしすぎじゃないですか?」
とワンピースが汚れるのも構わず、縁の下の猫を見ようと覗き込んでいるひなとを見ながら言って、勘太郎に、
「……何故、お前の方が全否定する」
と言われてしまった。
いや、所詮は人の物だから。
いいと思ってしまわない方がいいと思っているからだろうか。
そう思いながら、緒方はひなとの背を見つめていた。



