「行ってみなよ。
心配じゃないのかい」
と包丁を手に畑から出てきた澄子が言ってくる。
「それが……おじいさんとお会いするの、店じゃなくて寺らしいんですよ」
「寺か。
入りづらいですね」
と田中が難しい顔で呟いていた。
「お葬式でもあれば行けるけどねえ」
と聞いていたらしい入野が財布を手に階段を下りてきながら言う。
「……誰か、殺すしかないですね」
と思いつめた表情の田中が言い、澄子が、
「……何故、こっちを見るんだい」
まだ死ぬ予定はないよ、と言って揉めはじめる。
「死にそうなフリしてくださるだけでいいんですよっ」
「死にそうだったら、病院だろうっ。
寺に行ったら、そのまま葬られるじゃないかっ」
とふたりで言い争っていて、野菜を手に遅れて畑から出てきた秀継が苦笑いしていた。
後ろの騒ぎを聞きながら、柚月はひとり緒方の車が消えた方角を見つめていた。
心配じゃないのかい」
と包丁を手に畑から出てきた澄子が言ってくる。
「それが……おじいさんとお会いするの、店じゃなくて寺らしいんですよ」
「寺か。
入りづらいですね」
と田中が難しい顔で呟いていた。
「お葬式でもあれば行けるけどねえ」
と聞いていたらしい入野が財布を手に階段を下りてきながら言う。
「……誰か、殺すしかないですね」
と思いつめた表情の田中が言い、澄子が、
「……何故、こっちを見るんだい」
まだ死ぬ予定はないよ、と言って揉めはじめる。
「死にそうなフリしてくださるだけでいいんですよっ」
「死にそうだったら、病院だろうっ。
寺に行ったら、そのまま葬られるじゃないかっ」
とふたりで言い争っていて、野菜を手に遅れて畑から出てきた秀継が苦笑いしていた。
後ろの騒ぎを聞きながら、柚月はひとり緒方の車が消えた方角を見つめていた。



