オフィスラブはじまってました

「す、すみませんっ」
とひなとは慌てて後ろの髪を手で押さえてみていた。

「まあいい。
 ありのままを見てもらった方がいいからな」
と言う緒方に、

 ……ニセの恋人なんだから、ありのままでなくてよくないですか、
と柚月は思っていた。

 口には出さなかったが。

「うまくいったら、あとでなにか美味いものでもおごってやるからな」
と言う緒方に、ひなとは、

「あ、いえ、そんな、別にいいです」
と遠慮していたが。

 緒方は此処でもまた容赦無く、

「うまくいかなかったら、コンビニでなにか買ってやる」
と言っていた。