オフィスラブはじまってました

「心配するな」

 いや、なにも心配などしていないです。

「無事に帰す」
と言ったあとで、緒方は小首を傾げ、

「……たぶん」
と言う。

 ……たぶん!?
と思ったとき、ひなとが慌てたようにバッグ片手に飛び出してきた。

「す、すみません。
 遅くなりまして。

 って、三十分早いですよ~、緒方さんっ」

「すまん。
 ジジイは早起きなので、予定より早く出てきてしまったんだ。

 小言がうるさいから、逃げて早めに迎えに来た」
と言ったあとで、緒方は、

「可愛いじゃないか、そのワンピース。
 よく似合ってるぞ。

 だが、仕度に、なんの時間がかかったんだ。

 何処化粧したんだ。
 髪も後ろはねてるぞ」
と容赦無く言い放つ。