朝、柚月はわざわざ新聞をとりに外廊下に出ていた。
いや、新聞はドアの新聞受けに突っ込まれているのだが。
ひなとたちに出くわしたら、引っかかってとれないので、外から引っ張ろうと思って、と言い訳しようと思っていた。
すると、ひなとが出るより早く、黒坊主ではない緒方がやってきた。
今日は法衣でもなく、スーツでもなく、普通に小洒落た感じの気負わないファッションだった。
昨夜は実家に泊まったらしく、わざわざ車で、ひなとを迎えに来たという。
緒方は、ひなとの仕度が遅いとチャイムを連打したあとで、わざとらしく新聞受けにささったままの新聞をつかんでいる自分を振り向き、言ってきた。



