その日の昼は、社食で柚月と一緒になった。
「柚月さんにも無謀な若い頃があったんですねえ」
と朝の話を思い出して、しみじみ言って、
「待て。
俺はまだ若いからな」
と言われてしまったが。
「無謀な若い頃っていうか。
檜村は今でも無謀だよね。
反骨精神にあふれてるっていうか」
と柚月の隣で食べている水橋が笑う。
柚月の日替わり定食には、よくある6ピースパックのチーズがついていた。
何故か柚月がそれをじっと見つめているので。
どうしたんですかっ? と思っていたら、柚月は、いきなり、それをひなとに差し出してきた。
「やろう」
「えっ? いいですよ。
何故ですか」
とひなとは言ったが、柚月は、
「磨くかと思って」
と言う。
「磨きませんよ……」
その状態のチーズをどうやって磨けと言うんですか、と思ったが、結局、チーズはもらってしまった。



