オフィスラブはじまってました

「江戸文学さんはいつもこのバスなんですか?」

「このバスなら会ってるだろうが、いつも」
という吊り輪と檜村部長の会話に、ははは、と笑いながら、

 ……ありがとう、つり輪。
 おかげで、イケメン様たちとバスで行ける、と惟子は、つり輪に感謝していた。

 ついでに色目も学んでおくか。

 せっかく持ってきてくれたことだし、と思いながら、ノートをめくってみたが。

 ノートはほんとうに空白まみれだった。

 しかも、その空白のところに、『間が抜けてる』と書いてある。

「……間《ま》が抜けてる?」

「やたなあ、江戸文学さん。
 あいだが抜けてるですよー」

「……()が抜けてるで正解な気がするが」
と柚月が呟いていた。