「懐かしいな、新田先生の家」 と運転しながら柚月が言ってきた。 「子どもの頃は逸子(いつこ)さんについてってたけど、大きくなったら、もう行かなかったからな」 ばったり出会っていたこともあったのだろうかな。 おにいちゃんの椅子とは、ばったり会ってたみたいですけど、と思うひなとと柚月は、全然違うことを考えていた。 柚月は、 ……ちょっと気まずいな。 言うんじゃなかった。 昨夜、お前の夢を見たなんて。 告白してるようなもんじゃないか、 と思っていたのだが。