朝、起きたひなとがリビングに行くと、もう柚月以外はそろっていた。
今だっ、と思って、ひなとは言う。
「あのさ、お母さんたち。
柚月さんは別に結婚申し込みに来たわけじゃないんだけどっ」
すると、ソファで新聞を読んでいた父、智幸が、嬉しいような悲しいような微妙な顔をした。
うっ、どっちですかっ、と思っていると、景子がキッチンから振り返り、
「あらー。
でも、彼女の実家に来るなんて、それ相応の覚悟があってのことなんじゃないの?
結構距離もあるのに、わざわざ来るなんて」
ねえ? と同意を求めるように、智幸を見る。
いや、あの、そもそも彼女ですらないんですが……。



