部屋に戻ったあと、すぐに布団に入った柚月は、突然、泊まることになって申し訳なかったな、と思っていた。
ひなとが聞いていたら、
「いえいえいえっ。
柚月さんにもご予定があったでしょうに。
こちらこそ申し訳なかったですっ」
と言っていたことだろうが。
寝返りを打ち、壁の方を向く。
さっきお兄さんが出て行ってからは静かだな、とひなとの部屋との間にあるその白い壁を見つめた。
ひなとが目を覚ましたのか、少し話していたようだが、なにを言っていたのかは聞こえなかった。
だが、二人でこしょこしょと話している声を聞きながら、柚月は少し笑ってしまった。
なにやら微笑ましい気配が此処まで伝わってきたからだ。



