オフィスラブはじまってました

「あ、ありがとうございますっ」

 なんて気の利く人なんだっ。

 失礼だが、ひなとよりも気が利くっ、と柚月は衝撃を受けていた。

 そして、頭の片隅で何故か、

 こんな人がいつも側にいたのなら、少々の男では、ひなとは(なび)かないだろうな、と思っていた。

 みんな寝ているからか、静かな声で秀治は言う。

「お前、ほんとは、ひなとと付き合ってるわけじゃないんだろ。
 ひなとにそんな甲斐性(かいしょう)あるわけないもんな。

 でも、マヌケたやつだが、俺には可愛い妹なんだ。
 もしよかったら、ひなととのこと、考えてみてやってくれ。

 俺も……、

 お前が弟になると嬉しいよ」

 そう秀治は自分を見つめ、言ってくる。

 お兄さんっ、今すぐ結婚させていただきますっ、と叫びそうになってしまった。