オフィスラブはじまってました

 ただいまー、と両親に向かって言う秀治の声を聞きながら、いまいち正気ではない柚月が呟いていた。

「……どちらかと言えば、お兄さんに結婚を申し込みたいな」

 兄の消えたリビングのガラス扉の方を向いている柚月を見ながら、ひなとは思う。

 どうやら、私より、兄の持ってくるキャンプ道具に気があるようだ……、と。