オフィスラブはじまってました

 空腹を通り越したので、材料を買い足してから、なにか素敵なブランチを作ろうと計画したのだ。

 心地よい初夏の風とお日様を浴びながら歩くひなとは、塀の上の猫に気がついた。

「あっ、ちゃとーっ」

 前住んでいたアパートの向かいの猫だった。

 もともとはアメリカンショートヘアだったのではないかと思われるのだが。

 ちょっと巨大化していて、原型がよくわからないその猫は、よくブロック塀の上にのれているな、という感じで、体の半分は塀からあふれている。

「ちゃとー、久しぶりー」
と手を出すと、ちゃとは、ごろごろ言いながら、アゴをこすりつけてくる。

 そんな感じにひとりと一匹で、再会を喜んでいたのだが。

 すぐ近くを重低音を響かせやってきたトラックが通ると、ちゃとは驚いて飛んで逃げてしまった。