「何様だ事件は覚えていますが、そんな話ではなかったはずです」 と今度は、ひなとが語る番だった。 「でも、私にとっても、それは血塗られた記憶なのです……」 ひなとの放つ重苦しい空気に柚月と田中が身構える。 森崎は構えなかった。 「……私は、毎年、秋の写生の後あるというイモ掘り大会につられて美術部に入りました」 「……そのくだりは必要か?」 と柚月が冷静に口を挟んでくる。 必要なかったかもですね……と思いながら、ひなとは言った。