「それにしても、なんで同じアパートにいるんだ、お前ら」
と田中のところに遊びに来たらしい森崎が胡散臭げに田中を見て言い出した。
「……お前、まさか秋本を追いかけて此処に?」
引くぞ、と実際、後退りながら言う森崎に、田中は、
「此処に入ったのは、俺が先だーっ」
と叫んでいた。
「此処はハッピーエンド荘。
入った人間は、みな幸せになって出て行くと大家さんも言っていた」
それ、前から気になってたんですが。
それだと、ずっと此処にいる人はアンハッピーだということでは……?
そうひなとが思ったとき、田中が拳を作り、廊下で叫んだ。
「このアパートだとお前を忘れて幸せになれると思ったのにっ。
何故、自分からやってくる秋本ひなとっ」
……私は何故、突然、忘れられようとしているのでしょうかね、この人に。
今、お久しぶりです、懐かしいですねと挨拶したばかりなのに。



