オフィスラブはじまってました




「同期と呑んだとき、『この唐揚げ! 450円』って壁のメニューにあったんで。

 どんな唐揚げなんだろう?

 店の一押しメニューなのかなと思ってたら、『たこの唐揚げ』だったんですよね~。

 ちょうど観葉植物の葉で『た』の字が見えなくて」
と呑みながら、ひなとがしょうもない話をしていると、柵の向こうで自転車が止まった。

「お、やってるじゃないか。
 俺も混ぜてくれよ」
と仕事帰りらしい緒方が軽く言ってくる。

 隣の部屋のカーテンの陰で田中が歯がみしながら、そのセリフを聞いていることには誰も気づいてはいなかった。

「緒方さん、雅士と従兄弟なんですってね」
と自転車を置いてやってきた緒方にひなとが言うと、

「ああそう。
 なんだ、知り合いか?」
と持ってきたパイプ椅子を広げながら、緒方が言ってくる。

「同じ会社なんです」