オフィスラブはじまってました





「いやー、肉焼いてもらって、コーヒー淹れてもらって。
 なんかお姫様扱いで申し訳ないです~」
とチタンのマグカップを手に、ひなとは笑う。

「お姫様レベルが低すぎる……」
と柚月に呟かれ、

「お前、普段、家族にどんな扱い受けてんだ……」
と緒方に言われた。

「いや~、お兄ちゃんが珈琲淹れてくれることもあるんですけどね。
 こだわる人だから。

 珈琲淹れてくれるっていうから待ってたら、コールドブリューで。

 いきなり水から抽出しはじめて。
 次の朝だったんですよっ、出来あがったのはっ」