オフィスラブはじまってました

「ほら」
とそのとき、柚月が、ひなとの皿に焼けた肉を入れてくれた。

「柚月さんたち、食べてますか?」
とちょっと心配になって訊いてみたのだが、柚月は厳しい顔で、

「間で食べてる。
 というか、俺たちは焼くのに忙しい。

 ちょうどいいタイミングで網から上げたんだ、今すぐ食え」
と言ってくる。

 ……焼肉奉行様だ。

 焼肉奉行様が此処にいる……。

 ひなとは奉行様に怒られないよう、急いでタレがたっぷりついた熱い肉を口に放り込んだ。

 普段、さっぱりしたものばかり食べているせいか。
 高すぎる肉だと、脂が強すぎて胸焼けがするときがあるのだが。

 これは網から炭に落ちた分、脂が抜けているからか、程いい感じだった。

「美味しいですっ」
と言うと、そうかそうか、と柚月は嬉しそうな顔をする。