オフィスラブはじまってました

 ずっと柚月と入野が焼いているので、なにもしないのは申し訳ないなと思っていたのだが。

 この二人、自分が焼きたいらしく、手は出すなと言ってくる。

 二人は時折、話し合いながら、トングを手に腕組みをし、真剣に肉を見つめていた。

 まあ、楽しくてなによりだ、と思いながら、ひなとは緒方が持ってきてくれた、なかなか手に入らないという日本酒をいただく。

 寺からもらってきていた物らしいが、すっきりとした飲み心地で、よく冷えていて美味しかった。

 緒方は焼く方には特に興味ないらしく。

 冗談みたいな勢いで缶ビールを開けて呑んでいる。

 緒方の後ろに空いた缶が並ぶのを見ながら、ひなとは言った。

「緒方さん、会社もお寺もだと忙しいですね」

「ああ、まあ、普段は寺の方はやらないからな。
 基本、休みの日と夜くらいしか手伝わないし。

 最近は、土日は弟がやってくれることも多いから。
 基本、夜のお仕事って感じかな」

 微妙に、いかがわしい感じがしますが……。