「改めまして、緒方です。 独身です」 そう緒方は、ひなとに自己紹介してきた。 緒方は自分の部屋から持ってきた、ちょっと錆(さ)びたパイプ椅子に座り、紙皿と箸を手にしている。 パイプ椅子は、よく学校の体育館や職場の会議室にあるあれだった。 職場でいらなくなったのをもらってきて、家で使っているのだと言う。 あまり物事にこだわらない人のようだった。 「あのー、法衣のままで大丈夫ですか?」 とひなとは緒方に訊いてみた。 緒方が黒い衣に袈裟をかけたまま参加していたからだ。