その日の帰り、ひなとは朝乗ったのとは違うバス停で降りていた。

 こっちで降りた方がスーパー近いじゃんと気がついたからだ。

 買い物カゴを手に、とりあえず、このスーパー、何処になにがあるのか、配置を覚えねばな、と思い、ウロウロとする。

 知らないスーパーだと、物を探すのにやたら時間がかかるからだ。

 なんだかんだで、このスーパーが一番近いから、慣れ親しんでおかなければと思ったのだ。

 前住んでたところの商店街もそう遠くないから行きたいんだが。

 まあ、まずは此処に慣れないとな、と思ったとき、ちょうど買い物カゴを手に入ってきた柚月と目が合った。

「あっ、こんばんはっ」
と言うと、柚月は、

「こんばんは。
 買い出しか」
と言いながら、ひなとの買い物カゴを見る。

 うっ。
 まだ紅茶とお菓子しか入ってなかったっ。