「言いたいなら言いふらせば?いつも表情豊かな茶屋くんは、じつはこんな奴だったんだよーって」
「ちがう……」
「うさんくさく思ってたんでしょ?俺のこと。せーかいだよ」
ずばりと言ってのけられる。
あけっぱなしだった窓からはいった風が茶屋くんの黒い髪をゆらした。
すき間からのぞく二重の目はわたしの
……手前を見ている。
ぎゅっと心臓がにぎられるような気がした。
「ちがうってば!」
「なにが違うんだよ。あんたが疑ってたくせに」
「それはっ……そうだけど、」
たしかにわたしはいちど、彼のことを疑ってしまった。
その顔にあるのは本当の笑顔じゃないのかもって、変にさぐっちゃったりもした。
でも、わたしがここに来たのは。
誰もいない教室で、茶屋くんを待ってたのは。
「……わたしのこと、見てくれないから」
「は?」



