ひとつずれただけなのに、なんだか教室の景色がちがって見えた。
茶屋くんの気持ちも流れ込んできてくれたらなぁ、なんて思ったけど。
ひんやりと冷たい椅子と机は、茶屋くんのわたしに対する冷たさに似ていた。
「そろそろかな……」
そこまで悠長にしているひまもなく。
遠くからだれかが歩いてくる音が聞こえる。
きっと茶屋くんだ。
ドキドキしながら机に顔を伏せて、寝たふりをする。
どうせ見えないから目までは閉じなくてもよかったんだけど、緊張でぎゅっとつぶってしまった。
足音が近づいてくる。
教室のドアがあけられる音もした。
そして……



