「ちゃ、茶屋くん。申し訳ないんだけど、ティッシュをください」
「いや持ってない。じゃあ帰るわ、俺」
「えっ!ちょっと待ってっ、」
まだ話していたい一心で顔をあげる。
予想に反して、茶屋くんはまだそこにいてくれた。
……あ、
「焦りすぎ。つーか鼻水も出てねーし」
──────笑ってる。
茶屋くんが、ゆるく口の端を上げて。
まゆを下げて、すこしだけ、笑ってた。
たぶん仮面のほうが彼にとって当たり前になりはじめてる。
だからなのか、ほんのすこしぎこちなくも見える表情だったけど。
「すきだよ、わたし」
……その笑顔も、だいすき。
『仮面をはずせば、』end.



