「……うん、うん。ありがとう、」
「泣きすぎ。麦生さんって意外と泣き虫なんだね」
伸ばされた手がぐしゃりとわたしの頭をなでる。
荒っぽくて、ふだんの茶屋くんからは想像できない力加減だった。
それなのにこっちのほうがいいと思ってしまうわたしは失礼なのかな。
「あ、また鼻水が……」
ふいに鼻の奥があつくなった気がして、あわてて鼻を押さえて下を向く。
「拭き終わるまでぜったいに顔あげるなよ」
「ええ、そんな無茶な……」
ゆるゆるなのは涙腺だけじゃないらしい。
たしかポケットに駅前でもらったティッシュが入ってるはず。
そう思って取り出したはいいものの、
「……あ!ない!」
広告の紙だけがはさまったビニールは、まさかのティッシュ切れ。
あ、そういえばさっきクラスメイトに貸してって言われて……
確認しなかったわたしもわたしだけど、使い終わってたなら何か言ってよー!



