仮面をはずせば、



すこしして離れていく茶屋くんと、ぽかんとしているわたし。



「えっ、えええ…なっ、んでキス……」

「……なんとなく」

「ちょっと、ごしごししないでよ」

「潔癖なんだよ、俺」


「わ、わたし汚くないもんっ……」

「鏡で顔見てみろよ。いろいろ出てるから」

「なっ……、ほんと?」



それはちょっとはずかしい。

……いや、じゃなくて!


そっちからしてきたくせに!

いろいろ出てるのを承知で、キスしたんじゃないの。

というか茶屋くん潔癖だったの。




「麦生さん」

「な、なにっ」


「悪かったよ。冷たくして」



ぐるぐるまわる頭で言いたいことを整理していたわたしに届いたのは、茶屋くんからの淡泊な謝罪だった。


あいかわらず無表情だし、声にアクセントもない。

それでも……送ってくれたこの言葉は、本心だと思いたい。



いや、本心にちがいない。