こくんとうなずくと鼻水が出そうになる感覚がしたので、あわててすすった。
「そうだよ。見てたらいつかは合わせてくれるかなって思って……でも、ぜんぜん合わないし、むしろ悪化するし……っ」
ようやく収まってきたと思ったのに、また目頭が熱くなってくる。
だめだよ、これ。止まんないよ。
いま出てる涙はぜったい数学のときのぶんだ。
あのときめちゃくちゃ我慢してたもん。
それに、いちばん伝えたかったことをまだ言えてない。
いきおいで言うのも卑怯かと思ったんだけど、もう言っちゃえと涙をごしごしぬぐった。
「わたし、わたし……っ、茶屋くんに嫌われたくないよ、」
──────仲なおりして。
やっぱり、いちばん重要なとこは言わせてくれなかった。
わたしたちのあいだに引かれていた境界線がふっと消えて。
わたしは茶屋くんにキスをされていた。
風の吹きこむ窓とおなじ、あけっぱなしの瞳は。
ちゃんと、わたしのことを見てくれていた。



