(ええと、スキルを発動、して……っと)

 自分の存在感が希薄になっているのを感じる。
 庭師がすぐ側を通っていったけれど、アイリーシャがいるのに気付かなくて、ぶつかりそうになった。

(……よし、できた)

 アイリーシャにスキルの使い方を指導してくれるのは、神様だ。ふらりと現れては、こうして指導してくれる。
 名前をつけようかと言ったら、人間のくせに図々しいと言われたので、ただ神様と呼んでいる。

「そうそう、いい感じ。君、隠密スキルも才能あったんだねぇ」
「神様のおかげよねー。あと、最近、火魔術も使えるようになったわよ」
「やるねぇ。才能なかったら、そもそも取得できないんだけどさ。じゃあ、お勉強しょうか……スキルの成り立ちってどうなってるんだっけ?」
「えっと、自然発生で身につく場合と、教会で寄付金収めて、スキルを宿してもらうパターンがあるのよね?」
「そうそう」

 たとえば料理だったり、裁縫が上手だったりという日常生活で必用とされるスキルについては、自然発生で目覚めることが多い。
幼い頃から母親の料理を手伝っていた少年が、大人になった時には料理人になった。