人々が急にばたばたと倒れて行った呪いについては、宮廷魔術師ミカルの仕業として公表された。自らの魔力を増大させるために、彼が行った研究の暴走だと国民には伝えられている。
 彼については、近衛騎士団が取り押さえようとした時、魔術を使って抵抗しようとしたため、その場で処刑され、すぐに遺体は埋葬された――ということになっている。
 そうでもしないと、ミカルの死体が残っていない理由の説明がつかないからだ。

「……それにしたって、私、これはどうかと思うんですよ……」

 王太子殿下と公爵家令嬢。この二人の組み合わせは非常に目立つ。
 その結果――エドアルトと一緒にいる時は、常に手を繋いでいることになった。影をとことん薄くするために。

「君と、ずっと手を繋いでいられるからこれはこれで俺は嬉しいんだが」

 彼のことを氷と言ったのは誰だ! と全力で突っ込んでやりたいところだ。
 結局のところ、エドアルトは十年前からアイリーシャのことを気にしていたらしい。