屋敷があまりにもやかましいようであれば、研究所に避難してもいいと言われている。当面の間、そこに避難することにしようか。
 魔術研究所は王宮の敷地内にあるから、敷地に入る段階でまずチェックが入る。その後、何か所かチェックされる場所があるから、屋敷で過ごすよりは静かだろう。

(所長も、研究所に泊まればいいって言ってたし)

 呪いを解除するのに忙しすぎて、直接報告はしていないけれど、ミカルに手紙は送ってある。その返事に、『あまりにも人が押しかけてくるようなら、研究所の宿泊施設を使ってもいい』と書かれていた。
 昔の王族が使っていた建物で、ミカルの部屋がある三階には、何か所か宿泊部屋もあるそうだ。そこに泊まらせてもらうことにしよう。
 当面の荷物をまとめて魔術研究所に向かったけれど、そこもまた静かな場所とは言い難かった。
 というのも、ヴィクトルが駆けつけていたのだ。
 アイリーシャの姿を認めるなり、ヴィクトルはこちらに大急ぎで駆けつけてきた。
 白を基調とした近衛騎士の制服が実によく似あっているが、必死の形相で台無しだ。