(誰が、どうしてこんなことをしたのかしら……)

 アイリーシャが、呪いを解けると知ると、その場にいた人達はわぁわぁと騒ぎ始めた。
 それは聞こえないふりをして、次のベッドへと向かう。広間にいた人達全員を目覚めさせた次は、客室にいる人だった。
 ここにいるのは、特に高い寄付金をおさめている人なのだそうだ。最初に入った部屋で、アイリーシャは目を見開いた。

「――ヴァレリア、あなた、どうしてここに」
「母が、倒れたから」

 アイリーシャが、今回の呪いに関わっているのではないかと騒ぎ立てたヴァレリアが、ベッドの側に置かれた椅子に腰かけていた。

「――そう。たしか、そんなことを聞いたわ」

 それを教えてくれたのは、ミリアムだったか。
 たしかに、母親が倒れたら、アイリーシャに一言言ってやらねばという気になるのかもしれない。

「……大丈夫。呪いは解けるから私に任せて」
「あなたの助けなんか、借りたくないのに」

 ヴァレリアが悔しそうにそうつぶやいたけれど、気にしないことにした。
 今、大切なのは、そこではない。
 今までと同じ工程を繰り返す。