転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく

「なんで、資格がないのに、ルルを呼び出すことができたんですか? 王家の人間が協力したから……とかでしょうか」

 エドアルトは、相手が神というので、丁寧に接することに決めたらしい。こんな姿なのに、気にもしてないようだ。

「我、寝てた! 軽く十年くらい!」

 まったく悪びれていない様子で、神は言い放った。

「は? 寝てた?」

 目をむいたのはアイリーシャの方だった。手を伸ばし、神の身体をとらえたかと思ったら、前後にがっくんがっくんと湯探る。

「寝てたって! 十年も寝てたって! 神聖魔術の使い方教えてくれるって言ってたのに!」
「だって、我の力も完全じゃなかったしぃ。君をこっちの世界に連れてくるのにも力を使ってしまったしぃ。まあ、大変だったんだよいろいろと」

 そう言えば、そんなことを言っていたような気がしなくもない。アイリーシャをこちらの世界に生まれ変わらせるのに、彼は大変な苦労をしたとかなんとか。

「それで、呪いを解くのにはどうしたらいいんでしょう?」
「君、案外鈍い? もう、君の体の中にあるというのに」