「――王妃様に申し訳ありません、とお伝えしてくれる? 私がお詫びにうかがうべきなのはわかっているんだけど、今、王宮に行ったらまた変に言われると思うのよ」
「王妃様も、そのようにおっしゃっていたわ」

 わざわざ友人達を研究所の書庫に送り込んでくるあたり、王妃も相当気にかけているのだろう。

「あなたのせいじゃないわよ。ヴァレリアも気が立ってるんでしょ。お母様が例の病気で倒れたというし」

 ミリアムは、三人の中で一番の情報通だ。三日ほど前に、ヴァレリアの母である公爵夫人もまた倒れたらしい。

「……そう。それは、心配ね」

 ヴァレリアも、気丈に振る舞っていたのかもしれない。アイリーシャに対するやり方は、洗練されたものとはいいがたかったが。

(エドアルト様がしょっちゅうこっちに来ているのも知られているんだろうな……)

 友人達を見送り、どんよりしながら、ルルを連れて歩く。
 師匠であり上司でもああるミカルのところに呼び出されているのだ。
 端の方に申し訳程度に置かれているソファセットに向かい合って座ると、ルルはアイリーシャの膝の上に乗ってきた。

「その後、ルルはどうですか?」