目でそう訴えかけるけれど、兄はその訴えは完全にスルーしたようだ。
「お前、このところこもりっぱなしだっただろ? 少しは外の空気を吸った方がいいって」
「……わかった。一緒に行く」
エドアルトの前で、兄と激しくやり合っているところを見せる必要もあるまい。おとなしく、ノルベルトの提案を受け入れることにした。
たいした距離ではないから、帰りは歩くことにして、エドアルトの馬車に同乗させてもらう。
王宮に到着し、エドアルトが先に降りるとノルベルトは素早くささやきかけてきた。
「ルルは、俺が見ててやるから、リーシャが資料を返して来いよ」
「……お兄様が持ってくれないの?」
「や、殿下もお前が持って行った方が喜ぶだろ?」
「お、お兄様! そういうことを言うのはやめてよね!」
かっと頬が熱くなるのがわかった。
たしかに、アイリーシャに対しては、ほんの少しだけ他の女性に対するより空気が柔らかくなる――ような気がする。
けれど、それは初対面の時にさんざん脅してしまったことを気にしているからじゃないだろうか。
「お前、このところこもりっぱなしだっただろ? 少しは外の空気を吸った方がいいって」
「……わかった。一緒に行く」
エドアルトの前で、兄と激しくやり合っているところを見せる必要もあるまい。おとなしく、ノルベルトの提案を受け入れることにした。
たいした距離ではないから、帰りは歩くことにして、エドアルトの馬車に同乗させてもらう。
王宮に到着し、エドアルトが先に降りるとノルベルトは素早くささやきかけてきた。
「ルルは、俺が見ててやるから、リーシャが資料を返して来いよ」
「……お兄様が持ってくれないの?」
「や、殿下もお前が持って行った方が喜ぶだろ?」
「お、お兄様! そういうことを言うのはやめてよね!」
かっと頬が熱くなるのがわかった。
たしかに、アイリーシャに対しては、ほんの少しだけ他の女性に対するより空気が柔らかくなる――ような気がする。
けれど、それは初対面の時にさんざん脅してしまったことを気にしているからじゃないだろうか。


