転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく

 残念ながら、ルルは口をきけないので本当のところはどうかわからない。

「殿下、こちらですね」
「動かして問題ないようなら、神殿に運んでくれ」
「かしこまりました」

 呼ばれてやってきた王宮の職員達が、てきぱきと倒れている職員を診断し、動かしても問題ないことを確認する。

(……いつまでこれが続くんだろう)

 職員が、運ばれていくのを見送りながら考える。早く原因を見つけることができればいいのに。
 職員が運ばれていくのを見送る。
 話のすんだエドアルトは王宮へ、ノルヴェルトは自分の部屋へと戻っていった。

(所長に話を聞いておこう)

 アイリーシャは、所長であるミカルの部屋を訪ねることにした。彼が、呪いではないかという以上、調査の手掛かりになるようなことを教えてくれるのではないかと期待したのだ。
 ミカルは、今日も穏やかな笑みを浮かべてアイリーシャを迎えてくれた。

「所長、ルルもよろしいですか? ルルについても相談したいことがあるので」
「かまいませんよ。おとなしくしているようですし」