その場の空気を一気に壊したのは、あとから追いかけてきたノルヴェルトだった。ルルに向かって手を差し出した彼は、見向きもされず、情けなさそうに眉を下げる。
「病人を見つけるのが得意って……」
「だって、そういう動物、過去にもいたじゃん。ええと、"聖獣"」
ノルヴェルトは、三年前から勤務している。だから、他の人には知られていない失われた伝承についても知っているのだ。
「"聖獣"というのは、創世神の使いのことだろう。ルルは、そのようなものではないと思うぞ。普通の犬だ」
尾を振ってエドアルトにまとわりついているルルは、単なる犬にしか見えない。創世神の使いというには、威厳のようなものは感じられない。
「うん。でもまあ、聖獣の血を引く動物は、他より勘が鋭かったり、魔術に対抗する抵抗力が他の動物より強いってこともあるらしいんで。ルルの場合も、そうなんじゃないかなーって」
「それなら、今まで脱走していたのは、こうやって倒れた人を探すためだった……とか?」
「そこまでは、わかんないけどさ。単にリーシャと離れるのが嫌で、脱走したついでに誰か倒れているのに気付いただけかも」
「病人を見つけるのが得意って……」
「だって、そういう動物、過去にもいたじゃん。ええと、"聖獣"」
ノルヴェルトは、三年前から勤務している。だから、他の人には知られていない失われた伝承についても知っているのだ。
「"聖獣"というのは、創世神の使いのことだろう。ルルは、そのようなものではないと思うぞ。普通の犬だ」
尾を振ってエドアルトにまとわりついているルルは、単なる犬にしか見えない。創世神の使いというには、威厳のようなものは感じられない。
「うん。でもまあ、聖獣の血を引く動物は、他より勘が鋭かったり、魔術に対抗する抵抗力が他の動物より強いってこともあるらしいんで。ルルの場合も、そうなんじゃないかなーって」
「それなら、今まで脱走していたのは、こうやって倒れた人を探すためだった……とか?」
「そこまでは、わかんないけどさ。単にリーシャと離れるのが嫌で、脱走したついでに誰か倒れているのに気付いただけかも」


