「よし、じゃあこれにしよう」

 選ばれたのは、樹脂の中にラベンダーの花を閉じ込めたブレスレットだった。

「これは、君に」
「わ、私に?」
「それから、こっちはルルに」

 店先でひらひらと揺れていたラベンダー色のリボンが、ルルの首に巻かれる。

「わ、わ、私……どうしましょう――!」

 樹脂のアクセサリーだから、高価な品ではない。
 けれど、異性からの初めての贈り物だ。
 いや、誕生日には山のように贈り物が届けられたけれど、それはアイリーシャに贈られたというよりは、公爵家とつながりを持ちたいからという理由で贈られたものだ。

(こ、こんなことをするなんて……!)

「夕方まで、付き合ってもらうお礼だ」

 そんな風に言うから、ますます耳が熱くなる。
 そんなたいしたことをしたわけじゃないのに。