けれど、ヴァレリアの方もめげなかった。
「――殿下。シュタッドミュラー家の娘とばかり話をしていては、問題になりかねませんわ。わたくしとも」
そこで、意味ありげに言葉を切る。
(おおおおっ! 王太子相手に苦言を呈した! そして、それは間違っていないわ……!)
たしかに、アイリーシャとばかり話をしていては、ヴァレリアの父も面白く思わないだろう。
ヴァレリアの家は、公爵家。アイリーシャの生家と同じ家格である。
「いや、やめておこう。本当に、立ち寄っただけだからな」
けれど、エドアルトはそれもまたぴしゃりと跳ねのけた。
「アイリーシャ嬢、すまないがそこまで一緒に来てくれ」
「かしこまりました……」
エドアルトに言われれば、ヴァレリアも断れない。
しぶしぶ引き下がった彼女を残し、エドアルトを馬車のところまで送る。
その間も、なんだか居心地が悪くてしかたなかった。
だって、彼らがひそひそとささやき合っているのさえ、アイリーシャの耳には届いてしまう。いや、本当に届いているわけではない。あくまでも想像だ。
「――殿下。シュタッドミュラー家の娘とばかり話をしていては、問題になりかねませんわ。わたくしとも」
そこで、意味ありげに言葉を切る。
(おおおおっ! 王太子相手に苦言を呈した! そして、それは間違っていないわ……!)
たしかに、アイリーシャとばかり話をしていては、ヴァレリアの父も面白く思わないだろう。
ヴァレリアの家は、公爵家。アイリーシャの生家と同じ家格である。
「いや、やめておこう。本当に、立ち寄っただけだからな」
けれど、エドアルトはそれもまたぴしゃりと跳ねのけた。
「アイリーシャ嬢、すまないがそこまで一緒に来てくれ」
「かしこまりました……」
エドアルトに言われれば、ヴァレリアも断れない。
しぶしぶ引き下がった彼女を残し、エドアルトを馬車のところまで送る。
その間も、なんだか居心地が悪くてしかたなかった。
だって、彼らがひそひそとささやき合っているのさえ、アイリーシャの耳には届いてしまう。いや、本当に届いているわけではない。あくまでも想像だ。


