助けようとして、自分が転がり落ちたという間が抜けていると言えば、また抜けている展開である。
助けようとした恩があるし、生き返らせてあげられないから好きなところで第二の人生を送らせてもらうという約束だったはずなのだが――。

「そうだよ。君の好きなゲームの世界に転生させてあげるとは言ったけどさ。ちゃんと条件は話しただろ?」
「"玉"に転生させてくれるって言ってたでしょ! 私、モブキャラ希望だったんですけど?」
「だから、アイリーシャに転生させたでしょ?」

 しれっとして神様は言う。
愛美の知っている"アイリーシャ"は、聖女であり、ゲームのヒロインに使命を伝える役であった。
 ゲームの中で登場するのはほんの数度。実態を持たない、白く輝く球体であったことから、"玉"と呼ばれていたのである。
 ゲームのヒロインをそっと見守る立場であり、愛美にとっては思う存分ヒロインを愛でることのできる最高の立場であるという認識だった。

「……モニカたんに会えるって言ったじゃないの!」
「会えるよ? 三百年後に!」
「それじゃ遅いっつーの!」