転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく

 だが、この十年、採掘する量を大幅に増やし、市場に流通させたため、思っていたより早く鉱脈が尽きてしまいそうになっているそうだ。

「だから、王太子妃の座を狙っているというわけ?」
「王家に入ったら、お手当が出るでしょう。それで、新しい鉱山を開発したいとかなんとか……」
「それを言うなら、アイリーシャがいない間に、殿下との仲を確固たるものにしようとして失敗した方が大きいんじゃない? だって、あの人、望んで手に入らなかったものってなかった気がするのよ」

 たしかに、公爵家の娘なら、望めばなんでも手に入りそうだ。
 あの日、エドアルトを囲む輪の中にヴァレリアもいたから、彼に好意を持っているというのもあるのだろう。

(……政略結婚ってことになるのかしらこの場合)

 王太子と公爵家の娘なら、身分的に釣り合っている。双方、望むのなら、この場合は恋愛結婚と言ってもいいだろうか。

「この話は、ここまでにしましょうよ。それより、次はアクセサリーを見に行くのでしょう?」

 エドアルトのことは、これ以上口にしたくない。