『じゃあ、璃湖ちゃん。
今までお疲れさまでした』
『え?』
『アミュレットのマネージャー、
今日までってことで』
『ちょ……と……それは……』
『だって。
アミュレットが全国デビューしたら
東京の本社で、レッスンとか打ち合わせでしょ?
フラれた相手に仕事場で会うなんて、
ゾッとするから。俺』
『でも。私がマネージャーを辞めたら……』
『大丈夫。
どうせフラれるって思ってたから。
もう、人事に通してあるんだよね』
『え?』
『璃湖ちゃん、雪城さんって知ってる?』
『もしかして……
フリージアのマネージャーだったっていう……』
『そう。
明日からアミュレットのマネージャーは
雪城さんね』
『経験豊富だし。
他のアイドルグループから
アミュレット、ずるいって
文句が飛んでくること覚悟の
贅沢な抜擢だからね』
副社長は、そう付け足したけれど。
この時点の私は、まだ納得できなかった。