「もちろん!」

 そう答えながら、オレの頭はまたフル回転。

 さあ、次の行き先はどこにする?

「ハルはどこか行きたいところある?」

 そう問いかけ、ハルが何やら考えている間に、車を降りて助手席に回ってハルをエスコート。

 助手席のドアを開けて手を差し伸べると、ハルは、

「ありがとう」

 とふわりとした笑みを浮かべた。

 ああ、なんか、このシチュエーション、すごく新鮮!

 思わず立ち上がったハルを抱きしめてキスを落としてしまい、ハルに叱られながらもオレの心はどこか浮き立っていた。

 ハルはどこに行きたいって言うかな?

 まずは毎週の通院でオレの運転に慣れてもらって、大丈夫そうなら学校の側のカフェでお茶でもしてみるとかどうだろう?

 その後、少しずつ距離を伸ばして、ハルの行きたいところに行くんだ。

 ゆっくりと院内へ向かって歩きながらハルとのデートに思いを馳せていたら、エレベーター前で立ち止まった瞬間、ハルが、

「カナ?」

 と不思議そうに声をかけて来た。

「ごめんごめん。ハルとどこに行こうか考えてたら、なんか楽しくなっちゃって。

ね、ハル。行きたい場所が見つかったら教えてね?」

 繋いだ手をキュッと握りながらそう言うと、ハルは、

「うん。考えてみるね!」

 と、オレを見上げて、今日一番の笑顔を見せてくれた。


(完)