合コンなんて初めてで、正しいノリも空気の読み方もわからないけれど、彼と一緒に帰るのだけは絶対にナシだ。
「……ごめんなさい」
肩にのせられた彼の腕を振り払い、紅は店に戻ろうとした。が、二の腕を乱暴につかまれ引き戻された。
「いたっ」
「いいじゃん。行こうよ。俺、二ノ宮さんのこと前からいいなって思ってたし」
こちらは少しも「いいな」なんて思えない。紅はそう目で訴えたが、どうやら伝わっていないようだ。
「他にもいい店知ってるしさ」
「……やめてくださいってば」
「藤谷!」
押し問答していた紅と藤谷に割って入ってきたのは田端だった。彼の姿をみとめた紅は、ほっと安堵のため息をつく。
「なんすか、田端さん。彼女を口説いてるとこなんだから、邪魔しないでくださいよ〜」
藤谷は不愉快そうに田端をにらみつけた。
「後輩口説いてる場合じゃないぞ。お前の担当案件でトラブルだって。すぐに上司に連絡入れたほうがいいぞ」
「へ?」
「ほら、早く。詳しいことは真純に聞け」
真純というのは、田端が話し込んでいた女性の名前だ。事態がよくのみこめていない藤谷を田端は強引に店へと押し返した。
「……ごめんなさい」
肩にのせられた彼の腕を振り払い、紅は店に戻ろうとした。が、二の腕を乱暴につかまれ引き戻された。
「いたっ」
「いいじゃん。行こうよ。俺、二ノ宮さんのこと前からいいなって思ってたし」
こちらは少しも「いいな」なんて思えない。紅はそう目で訴えたが、どうやら伝わっていないようだ。
「他にもいい店知ってるしさ」
「……やめてくださいってば」
「藤谷!」
押し問答していた紅と藤谷に割って入ってきたのは田端だった。彼の姿をみとめた紅は、ほっと安堵のため息をつく。
「なんすか、田端さん。彼女を口説いてるとこなんだから、邪魔しないでくださいよ〜」
藤谷は不愉快そうに田端をにらみつけた。
「後輩口説いてる場合じゃないぞ。お前の担当案件でトラブルだって。すぐに上司に連絡入れたほうがいいぞ」
「へ?」
「ほら、早く。詳しいことは真純に聞け」
真純というのは、田端が話し込んでいた女性の名前だ。事態がよくのみこめていない藤谷を田端は強引に店へと押し返した。



